教育歴・受賞歴・その他

(2019年5月の日本文化人類学会研究大会の席上で、用意されていながら読まれなかった澁澤賞受賞あいさつ)

   もともと社会学と社会思想史の学生だった私が、はじめて文化人類学を学ぼうと思ったのは、たしか27歳の時だったと思います。その後の研究成果をご評価いただいて、たいへん光栄ではございますが、今は次の仕事のことで頭がいっぱいでして、ほとんど何も申し上げることができません。

   1965年に出版された『マルクスのために』という本の中で、アルチュセールは、思考の歴史の中で生まれてくる新しい概念とは、「道路標識の矢印」のようなものだ、と書いています。

   すなわち、道路標識の矢印というものは、一方で、あくまで「こちら側」、すなわちこれまでの思考の世界に立っています。しかしそれと同時に、その矢印は、「あちら側」、すなわちこれから来るべき世界を指し示しているということができます。

   そのように、新しい思考というのものは、古い世界と新しい世界の間で引き裂かれたかたちでのみ生まれ出ることができる、というのがアルチュセールのメッセージです。

   私も、そうしたメッセージを心にとめながら、引き続き道路標識のような民族誌を目指したいと思っています。ありがとうございました。

教育歴

2004.3 東京大学教養学部総合社会科学科(相関社会科学分科)卒業

2004.4 東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻(相関社会科学)修士課程進学

2007.4 同博士課程進学

2009.4 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(文化人類学)博士課程に再入学

2014.3 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(文化人類学)博士課程を単位取得退学

2014.12 東京大学大学院総合文化研究科で博士(学術)の学位を取得


受賞歴

2003.2 Dean's Honor List(成績優秀者名簿), Fall 2002. College of Letters and Sciences, University of California, Berkeley

2003.8 Dean's Honor List,  Spring 2003. College of Letters and Sciences, University of California, Berkeley

2004.3 東京大学総長賞(教養学部最優秀成績者)

2004.3 一高記念賞(卒業論文に対し)

2015.3 一高記念賞(博士論文に対し)

2016.8 第15回 アジア太平洋研究賞(井植記念賞、博士論文に対し)

2018.3 第17回日本オセアニア学会賞(著書『「海に住まうこと」の民族誌』に対し)

2018.12 第45回澁澤賞(著書『「海に住まうこと」の民族誌』に対し)

2023.12 「紀伊國屋じんぶん大賞2024 読者と選ぶ人文書ベスト30」入選(著書『不穏な熱帯:人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』に対し)


調査歴

2008.3-4 フィジー、ソロモン諸島、ヴァヌアツにおける、長期調査のための予備調査

2008.8-2009.1 2009.4-2009.10 2011.6-2011.10 2014.2-3 2018.3 2018.8 ソロモン諸島マライタ島北部および首都ホニアラにおいて、「海の民」(ラウ/アシ)の海上居住実践と歴史意識に関する調査


委員・役職

2019.1-2020.1 早稲田文化人類学会 事務局長

2019.4-2023.3 日本オセアニア学会 理事

2020.1- 現代文化人類学会(旧 早稲田文化人類学会) 理事

2020.5-2022.6 日本文化人類学会 理事

2022.4- 日本文化人類学会 代議員

2022.1- 日本サンゴ礁学会誌およびGalaxea, Journal of the Coral Reef Studies編集幹事(人文科学分野)